●急激な少子社会とコロナ禍明けで人手不足が深刻に
コロナ禍もようやく落ち着き、人々の動きがいよいよ活発化しだしました。旅行業界や外食産業などの新型コロナの影響が大きかった業界も繁忙状態が戻ってきました。本年3月から4月にかけて新幹線や飛行機の混雑はコロナ以前に戻り、飲食店などでも予約が取れない店が続出しました。ようやく経済活動が本格的に回復基調に入ってきたのだといえます。
しかしそんな中、懸念されるのが深刻な人手不足です。2022年の新規求人数(パートを含む実数)は年平均で86万6402人とコロナ禍前のピークだった2018年の97万6762人には及ばないものの、2021年に比べると10.8%も増えました。
2023年2月の統計によると新規の求人数は、宿泊業・飲食サービス業で37.2%増、教育・学習支援業で23.7%増、卸売業・小売業で11.1%増、医療・福祉で10.3%増と、いずれも大幅な増加になっていますが、新たに仕事を求める人に対してどれぐらいの新規求人があるかを示す「新規求人倍率」は2.32倍に達しています。旅館業などでは人手が足らないことから客室があっても宿泊客を取れないところも増えています。少子化により労働力人口が今後急激に進む中、どのように中長期的に従業員を確保していくか、経営者は頭を悩ませています。
そのひとつの解決策が外国人労働力への期待です。厚労省がまとめた2022年10月現在の「外国人雇用状況の届出状況」によると、新型コロナで鈍化していた外国人労働者数は、1年前に比べて5.5%増加、182万2725人と過去最多を記録しました。求人数がコロナ前に達していない中で、外国人労働者はすでに最多を更新しているのです。
産業別に見ると「医療・福祉」が28.6%増と大幅に増えています。介護老人ホームなどでの深刻な人手不足を受けて、介護現場で働くインドネシア人などが求められています。医療・福祉で働く外国人は7万4339人と全体から見れば4%あまりだが、今後も外国人材へのニーズが確実に高まっていくのは間違いありません。建設現場も深刻な人手不足に直面しており、建設業で働く外国人も6.2%増の11万6789人に達しています。建設現場では外国人なしでは工事が成り立たなくなっているところも少なからずあります。
今後、急増が見込まれるのは、新規求人数の伸びが顕著な宿泊業・飲食サービス業や小売業だろうと予想されます。