「在留資格」
外国人を雇用しようと思たことのある企業・事業主の方は、「就労ビザ」や「在留資格」といった言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?
「就労ビザ」「在留資格」とはそもそも何かということをここでは初歩的なことと、その注意点を解説いたします。
そもそも在留資格とはなにか?
在留資格とは、外国籍の方が日本に滞在するために必要な資格です。
その資格の要件は何か?
在留資格を得るための要件 |
1.(在留資格を申請する)外国人が日本で行おうとする活動が、入管法別表(法務省HPより)において在留資格ごとに定められた活動に合っているか?(在留資格該当性) |
2.(在留資格を申請する)外国人が基準省令で在留資格ごとに定められた基準に適合しているか? |
3.上記の「在留資格該当性」と「基準適合性」を資料によって立証できるか? |
4.犯罪歴など特別な問題がないか? |
入国前に審査が行われて、審査に通過した外国籍の方に在留資格認定証明書が発給されます。
在留資格は全部で29種類あり、それぞれの資格ごとに日本で行える活動が法律(出入国管理および難民認定法)により定められています。
同時に2種類の在留資格を所持することは認められていません。
そして、在留資格が発行されると、日本に滞在できる期間(在留期限)が決められます。同じ在留資格でも、日本で活動できる期間はそれぞれ異なります。
また「在留資格」は、A.活動に基づく在留資格と、B.身分又は地位に基づく在留資格に大別されています。
更に就労の可否で下記の4つに分類することができます。
A-1. 各在留資格に定められた範囲での就労が可能な在留資格(いわゆる就労ビザ)
A-2. 就労はできない在留資格
A-3. 個々の外国人に与えられた許可の内容により就労の可否が決められる在留資格
B. 身分又は地位に基づく在留資格
●A-1のように「就労が認められる在留資格」は19種類あり、それぞれ就労可能な制限範囲が違います。一方、Bの身分又は地位に基づく在留資格は4種類あり、日本人と同様にどんな仕事でも行うことが可能です。
●A-2の「就労が認められない在留資格」には短期滞在や留学などがあります。しかし中には「資格外就労許可」という資格をとることで、週28時間以内の労働が可能になる資格もあります。
●A-3は「特定活動」と呼ばれる資格で、法務大臣から指定された46種類の活動に従事することが可能です。現在ある在留資格のいずれにも分類できない活動に従事する外国人に与えられる在留資格です。他の在留資格に当てはまらない外国人が日本に滞在するための受け皿のようなものだと考えるとわかりやすいかもしれません。また、通常新しい在留資格を新設するには「出入国管理及び難民認定法」の改正が必要になりますが、「特定活動」に関する決定権は法務大臣が持っています。
次に具体的な仕事や身分を一覧表でご紹介します。(入管法別表第一(第二条の二、第十九条関係))
A-1. 各在留資格に定められた範囲での就労が可能な在留資格 | ||
在留資格 | 本邦において行うことができる活動 | (例) |
外交 | 日本国政府が接受する外国政府の外交使節団若しくは領事機関の構成員、条約若しくは国際慣行により外交使節と同様の特権及び免除を受ける者又はこれらの者と同一の世帯に属する家族の構成員としての活動 | 外国政府の対し、公使など、及びその家族 |
公用 | 日本国政府の承認した外国政府若しくは国際機関の公務に従事する者又はその者と同一の世帯に属する家族の構成員としての活動(この表の外交の項の下欄に掲げる活動を除く。) | 外国政府等の公務に従事する者及びその家族 |
教授 | 本邦の大学若しくはこれに準ずる機関又は高等専門学校において研究、研究の指導又は教育をする活動 | 大学教授 |
芸術 | 収入を伴う音楽、美術、文学その他の芸術上の活動(二の表の興行の項の下欄に掲げる活動を除く。) | 作曲家、画家、作家等 |
宗教 | 外国の宗教団体により本邦に派遣された宗教家の行う布教その他の宗教上の活動 | 外国の宗教団体から派遣される宣教師等 |
報道 | 外国の報道機関との契約に基づいて行う取材その他の報道上の活動 | 外国の報道機関の記者、カメラマン等 |
高度専門職 | 専門的な技術力や知識を有する外国籍人材のことです。 その中でも、人手不足が深刻化する中、海外から優秀な人材の受け入れを促進するために「学歴」「職歴」「年収」「年齢」「その他ボーナス」の観点から点数化し、一定以上のポイントに達した外国籍人材は「高度専門職」のビザを取得することが可能 | ポイント制による高度人材 |
経営・管理 | 本邦において貿易その他の事業の経営を開始し若しくは本邦におけるこれらの事業に投資してその経営を行い若しくは当該事業の管理に従事し又は本邦においてこれらの事業の経営を開始した外国人(外国法人を含む。以下この項において同じ。)若しくは本邦におけるこれらの事業に投資している外国人に代わつてその経営を行い若しくは当該事業の管理に従事する活動(この表の法律・会計業務の項の下欄に掲げる資格を有しなければ法律上行うことができないこととされている事業の経営若しくは管理に従事する活動を除く。) | 企業等の経営者、管理者等 |
法律・会計業務 | 外国法事務弁護士、外国公認会計士その他法律上資格を有する者が行うこととされている法律又は会計に係る業務に従事する活動 | 弁護士・公認会計士等 |
医療 | 医師、歯科医師その他法律上資格を有する者が行うこととされている医療に係る業務に従事する活動 | 医師、歯科医師、看護師等 |
研究 | 本邦の公私の機関との契約に基づいて研究を行う業務に従事する活動(一の表の教授の項の下欄に掲げる活動を除く。) | 政府関係機関や企業の研究者等 |
教育 | 本邦の小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、盲学校、聾学校、養護学校、専修学校又は各種学校若しくは設備及び編制に関してこれに準ずる教育機関において語学教育その他の教育をする活動 | 高等学校、中学校等の語学教師等 |
技術・人文知識・国際業務 | 「技術」…本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野に属する技術又は知識を要する業務に従事する活動(一の表の教授の項の下欄に掲げる活動並びにこの表の投資・経営の項、医療の項から教育の項まで、企業内転勤の項及び興行の項の下欄に掲げる活動を除く。) 「人文知識・国際業務」…本邦の公私の機関との契約に基づいて行う法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する知識を必要とする業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動(一の表の教授の項、芸術の項及び報道の項の下欄に掲げる活動並びにこの表の投資・経営の項から教育の項まで、企業内転勤の項及び興行の項の下欄に掲げる活動を除く。) | エンジニア等、通訳、デザイナー、語学講師等 |
企業内転勤 | 本邦に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が 本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において行うこの表の技術 の項又は人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる活動 | 外国の事務所から日本の事務所への転勤者 |
介護 | 本邦の公私の機関との契約に基づいて介護福祉士の資格を有する者が介護又は介護の指導を行う業務に従事する活動。 ※ 令和2年4月1日に在留資格「介護」の上陸基準省令が改正され、介護福祉士の資格を取得したルートにかかわらず、在留資格「介護」が認められることとなりました。 | 介護福祉士 |
興行 | 演劇、演芸、演奏、スポーツ等の興行に係る活動又はその他の芸能活動(この表の投資・経営の項の下欄に掲げる活動を除く。) | 俳優、歌手、プロスポーツ選手等 |
技能 | 本邦の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動 | 外国料理の調理師、スポーツ指導者等 |
特定技能 | 国内人材を確保することが困難な状況にある産業分野(14業種)において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れることを目的とする制度 | 特定産業分野の各業務従事者 |
技能実習 | 外国人技能実習制度は、我が国が先進国としての役割を果たしつつ国際社会との調和ある発展を図っていくため、技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力することが目的 | 技能実習生 |
A-2.就労が認められない在留資格 | ||
在留資格 | ||
文化活動 | 収入を伴わない学術上若しくは芸術上の活動又は我が国特有の文化若しくは技芸について専門的な研究を行い若しくは専門家の指導を受けてこれを修得する活動(四の表の留学の項から研修の項までの下欄に掲げる活動を除く。) | 日本固有の文化又は技芸、すなわち、生け花、茶道、柔道、日本建築、日本画、日本舞踊、日本料理、邦楽など |
短期滞在 | 本邦に短期間滞在して行う観光、保養、スポーツ、親族の訪問、見学、講習又は会合への参加、業務連絡その他これらに類似する活動 | 観光・家族滞在など |
留学 | ※「資格外活動許可」という資格をとることで、週28時間以内の労働が可能 | 学生 |
A-3.「特定活動」 | ||
在留資格 | ||
特定活動 | 現在ある在留資格のいずれにも分類できない活動に従事する外国人に与えられる在留資格 | 外交官等の家事使用人、ワーキング・ホリデー、経済連携協定に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者など |
B. 身分又は地位に基づく在留資格 | 本邦において有する身分又は地位 |
永住者 | 法務大臣が永住を認める者 |
日本人の配偶者等 | 日本人の配偶者若しくは民法(明治二十九年法律第八十九号)第八百十七条の二の規定による特別養子又は日本人の子として出生した者 |
永住者の配偶者等 | 永住者の在留資格をもつて在留する者若しくは特別永住者(以下「永住者等」と総称する。)の配偶者又は永住者等の子として本邦で出生しその後引き続き本邦に在留している者 |
定住者 | 法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者 |