風俗営業の許可を取得するには(風俗営業許可の要件)
風俗営業の営業所は、どこの場所でも、誰でも営業できるわけではありません。
風俗営業を無制限に認めると、善良な風俗や近隣の風俗環境を損ねる恐れが生じたり、青少年の健全な育成を阻害しかねないため、風営法で、都道府県公安委員会の許可を得なければならないと定めています。
許可を得るためには大きく分けて3つの要件を満たす必要があります。
①人的要件 | ②場所的要件 | ③構造的要件 |
①人的要件
●欠格事由に該当しないこと。
許可を受けようとする者が、次のいずれかの事由に該当する場合は、風俗営業の許可を受けることができません。
・成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権していない者
・1年以上の懲役若しくは禁錮の刑に処せられ、又は公然わいせつ罪や淫行勧誘罪などの風営法4条1項2号で列挙する罪を犯して1年未満の懲役若しくは罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過していない者
・集団的、常習的に暴力的不法行為を行うおそれのある者
・風俗営業の許可を取り消されて5年を経過しない者
・営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者(ただし、その者が風俗営業者の相続人であつて、その法定代理人が前各号及び次号のいずれにも該当しない場合を除く)
・法人の役員、法定代理人が上記の事項に該当するとき
・アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者
②場所的要件
場所的要件⑴
●都市計画法上の用途地域による制限にかからないこと。風俗営業は以下の用途地域では営業ができません。
・第1種低層住居専用地域
・第2種低層住居専用地域
・第1種中高層住宅専用地域
・第2種中高層住宅専用地域
・第1種住居地域と第2種住居地域(条例の制限による)
・準住居地域(条例の制限による)
住居系の地域では原則、風俗営業の許可は取得できません。(愛知県の場合、準住居地域は一定の営業に限り取得可。)
原則として営業所の一部でも用途地域による制限にかかっていると許可が取得出来ませんので、複数の用途地域にがって建物が建っていないか等、しっかりと確認をする事が重要です。
場所的要件⑵
●営業所から一定の距離以内に保全対象施設がないこと。
地域環境に与える影響の大きい風俗営業から、静穏、正常な環境を確保する必要があると判断された施設の事で、学校、保育所、病院等の教育・厚生関連施設が該当します。
保全対象施設の対象や距離制限については条例によって定められていますので都道府県ごとに異なります。
愛知県の場合は以下のようになっています。
・許可できない場所
条例で定める地域 | ||
---|---|---|
第一種地域 | 都市計画法で定める地域 | 第一種低層住居専用地域
第一種低層住居専用地域 第二種低層住居専用地域 第一種中高層住居専用地域 第二種中高層住居専用地域 第一種住居地域 第二種住居地域 |
第二種地域 | 準住居地域 | |
第三種地域 | その他の地域 (都市計画法上の近隣商業地域、準工業地域、工業地域、工業専用地域及び市街化調整区域並びに都市計画法適用除外地域となりますが、市街化調整区域では、新たな建物が建築できない場合があります。) | |
第四種地域 | 商業地域 | |
第五種地域 | 名古屋市の区域のうち | 千種区今池 一丁目8~13・29・30番 三丁目4番 四丁目7・9~11番 五丁目1~3・8~13・18~27番 内山三丁目32・33番 中区 栄三丁目8~13番 四丁目2~5・7~18・20・21番 新栄一丁目1・11・12番 錦三丁目12~14・17~19番 |
・許可できない地域
第一種地域
・許可できない区域
許可できる地域であっても、営業所から次表の距離内に上欄の施設があると許可できません。
幼保連携型認定こども園 |
病院 有床診療所 |
幼保連携型認定こども園 |
病院 有床診療所 |
||
3か月以内の期間営業 |
※「学校」とは、学校教育法第1条で定められている学校(幼稚園を含む。)です。
※「幼保連携型認定こども園」とは、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律で定められる幼保連携型認定こども園です。
※「保育所」とは、児童福祉法第7条で定められている保育所です。
※「病院」とは、医療法第1条の5第1項で定められている病院です。
※「有床診療所」とは、医療法第1条の5第2項で定められている診療所のうち患者を入院させるための施設を有する診療所です。
3.構造的要件
構造的要件
営業所の構造や設備が一定の技術的基準を満たしていなければなりません。
以下、社交飲食店営業(1号)で要求されている主な基準を例示。
①客室の床面積は、16.5㎡以上であること。(和風は9.5㎡以上、1室の場合は制限なし)
②営業所の外部から客室が見えないこと。
③客室に見通しを妨げる設備がないこと。
④客室の出入口に施錠の設備を設けないこと。(ただし、営業所外に直接通ずる客室の出入口については、施錠設備を設けてもかまわない。)
⑤客室内の照度が5ルクス以下とならないこと。
⑥騒音、又は振動の数値が条例で定める数値以下となる防音設備があること。(十分な壁の厚さがある等により、外部に音が漏れない場合は防音設備の設置は不要。)